
近代歌舞伎は「国家」や「自我」とどう向き合ったのか.豊富な資料と魅力溢れる筆致で論じる新作歌舞伎史.
ジャンル 書籍 > 人文・社会科学書 > 芸術日本十進分類 > 芸術・生活 > 演劇・音楽 刊行日 2006/06/29 体裁 四六・上製・カバー・538頁 ISBN 9784000224666 Cコード 0074 在庫 品切れ
この本の内容
明治後期以降,数多くの新作歌舞伎が上演されてきた.本書はその中から代表的な五六人の作家とその作品を取り上げて論じる,初めての新作歌舞伎史である.近代から現代にいたる歌舞伎が,「国家」や「自我」という近代的概念とどのように向き合い,格闘し,自らを変革してきたのか.豊富な資料と魅力溢れる筆致で,近代歌舞伎の潮流をいきいきと描き出す.■編集部からのメッセージ明治後期以降,数多くの新作歌舞伎が上演されてきました.本書は,その中から,代表的な56人の作家とその作品を取り上げて論じる,初めての新作歌舞伎史です.取り上げられている作品は,必ずしも興行的に成功したものばかりではありません.しかし,いずれの作品も,歌舞伎が「国家」や「自我」という近代的概念と向き合い,格闘し,みずからを変革してきた足跡をまざまざと示すものです.通読されるもよし,関心のある作家,作品から読まれるもよし.豊富な資料と,著者の魅力溢れる筆致が,近代歌舞伎の潮流をいきいきと描き出しています.ぜひご一読ください.■著者からのメッセージ演劇を構成する基本的な要素としては,劇場・俳優・観客・戯曲の四つを挙げるのが普通だが,江戸歌舞伎から近代歌舞伎へと転換する道程で,この四つの要素は互いに連動しながら,それぞれが大きく甚だしく変容した.本書がテーマとするのは,近代歌舞伎における戯曲,もしくは脚本の在り方に関しての考察であり,その書き手たる劇作家たちの足跡と,残された作品に対する再照射である.…… 近代日本においても,明治後期の戯曲の近代化を俟って,はじめて近代歌舞伎が確立し,同時に演劇の近代が開始されたと見ていい.…… 二十世紀の初頭に当たる明治末年は,演劇においても,真の近代のための条件が,すべて出揃った時期である.たとえば,戯曲が新聞募集され,毎月の雑誌にも掲載されて,誰にも読め,誰にも書けるようになった.…… このような理由から,本書『歌舞伎の近代――作家と作品』の出発点も,この時期に置いた.では,近代歌舞伎の流れの中へ,実際に分け入ってみよう.(本書「序として」より)
受賞情報
第12回AICT演劇評論賞(2007年)第39回日本演劇学会河竹賞(2007年)
目次
序として 近代歌舞伎の軌跡と,創造者たちの確認その壱 近代の意匠と試み 新歌舞伎ルネッサンス――明治後期山崎紫紅『歌舞伎物語』/岡本綺堂『箕輪の心中』/福地桜痴『侠客春雨傘』/渡辺霞亭『椀久末松山』/長谷川時雨『覇王丸』/榎本虎彦『鎌倉武鑑』 戯曲と舞台の時代――大正前期森鷗外『曽我兄弟』/吉井勇『解脱』/木下杢太郎『南蛮寺門前』/右田寅彦『家光の初恋』/幸田露伴『名和長年』/松井松翁『淀君と三成』/高安月郊『関ヶ原』/坪内逍遙『名残の星月夜』/中村吉蔵『伊井大老の死』/岡鬼太郎『今様薩摩歌』/谷崎潤一郎『法成寺物語』/菊池寛『敵討以上』 哀歌流れる――大正後期永井荷風『夜網誰白魚』/額田六福『寛永異聞』/鈴木泉三郎『次郎吉懺悔』/林和『心中両国橋』/大森痴雪『秋成の家』/山本有三『同士の人々』/大村嘉代子『みだれ金春』/大村富子『玉菊』 史劇と大衆劇の火――昭和初期小山内薫『森有礼』/吉田弦二郎『大谷刑部』/木村錦花『木曾街道膝栗毛』/川村花菱『上州土産百両首』/長谷川伸『沓掛時次郎』/池田大伍『古柏莚元助六』/島村民蔵『修学院物語』/永田衡吉『秋風落莫』/真山青果『江藤新平』/長田秀雄『大仏開眼』その弐 戦後の継承と展開 新しい波――昭和20,30年代(1)大仏次郎『戦国の人々』/加藤道夫『なよたけ』/三島由紀夫『芙蓉露大内実記』/木下順二『昔話おもん藤太』/有吉佐和子『綾の鼓』/円地文子『赤西蠣太』/福田恒存『明智光秀』 歌舞伎と商業演劇との狭間で――昭和20,30年代(2)中野実『褌医者』/川口松太郎『夜ざくら物語』/八木隆一郎『夢花火』/野口達二『富樫』/郷田悳『芸道一代男』『八代目市川団十郎』/菊田一夫『さぶ』 新星・旧星・異星――昭和後期から平成へヘルマン・ホイヴェルス『細川ガラシャ夫人』/舟橋聖一『関白殿下秀吉』/宇野信夫『柳影沢蛍火』/北条秀司『春日局』/池波正太郎『江戸女草子』/梅原猛『小栗判官』 主要参考文献 あとがき
著者略歴
中村 哲郎(なかむら・てつろう)1942年,山梨県生まれ.演劇研究者にして評論家.少年期より今日まで,おもに歌舞伎と演劇の周囲を見つめてきた.著書に『西洋人の歌舞伎発見』『歌舞伎の星座』ほか.戯曲に『天壇の西太后』がある.
夜雨聆风